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水俣条約とは何か|なぜ蛍光灯が世界的に禁止されることになったのか

蛍光灯の製造禁止の根拠は「水銀に関する水俣条約」と、それを国内で実施する水銀汚染防止法です。なぜ照明が対象になったのか、水銀灯が先に禁止された経緯も含めて、背景をわかりやすく説明します。

LED工事ナビ編集部公開 2026年8月6日時点の情報
目次
  1. 水俣条約はどういう条約か
  2. なぜ蛍光灯が対象なのか
  3. 水銀灯のほうが先に禁止されている
  4. 日本国内ではどう実施されているか
  5. 使い終わった蛍光灯の捨て方も条約と関係がある
  6. 結局どうすればいいか

蛍光灯が製造禁止になると聞いても、なぜ照明が国際的な取り決めの対象になるのか、すぐには結びつかないかもしれません。根拠になっているのは「水銀に関する水俣条約」という国際条約と、それを日本国内で実施する「水銀による環境の汚染の防止に関する法律(水銀汚染防止法)」です。この記事では、条約の背景と、照明が対象になった理由を整理します。

水俣条約はどういう条約か

水俣条約は、水銀が人の健康と環境に与えるリスクを減らすことを目的とした国際条約です。名前が示すとおり、日本の水俣病の経験が条約名の由来になっています。水銀は自然界にも存在する物質ですが、体内に取り込まれると神経系に影響を与えることが知られており、一度環境中に放出されると長く残ります。この条約では、水銀の採掘から使用、排出、廃棄までを国際的に管理し、段階的に減らしていくことが定められています。

対象は照明だけではありません。電池、スイッチ、体温計や血圧計といった計測機器、化粧品、農薬など、水銀を使う製品が幅広く含まれています。照明はその中の一分野という位置づけです。

なぜ蛍光灯が対象なのか

蛍光灯は、内部で放電を起こして紫外線を発生させ、それを管の内側に塗った蛍光体が可視光に変える、というしくみで光っています。この放電を起こすために、管の中に少量の水銀が封入されています。1本あたりの量はごくわずかですが、世界中で使われている本数を考えると総量は無視できません。とくに問題になるのは廃棄時です。適切に回収・処理されなければ、割れた管から水銀が環境中に出ていきます。

一方、LEDは半導体が直接発光するしくみで、水銀を使いません。同じ明るさを得るための消費電力も小さく、置き換えが技術的に可能になったことが、廃止に踏み切れた背景にあります。つまり「水銀を使わずに同じ役割を果たせる代替品が実用化された」ことが、条約で期限を決められた前提になっています。

水銀灯のほうが先に禁止されている

照明の中では、蛍光灯より先に高圧水銀ランプ(いわゆる水銀灯)が規制されています。一般照明用の高圧水銀ランプは、2021年1月1日から製造・輸出入が禁止されました。工場や倉庫、駐車場、体育館など、天井の高い場所で使われていたタイプです。すでに5年以上、新品が手に入らない状態が続いています。

このため、高天井の照明が球切れを起こしたとき、同じものに交換できず、LEDの高天井灯へ更新せざるを得ないケースが現場で実際に起きています。なお、メタルハライドランプや高圧ナトリウムランプ、紫外線ランプのような特殊用途のランプは規制の対象外とされています。自分の施設の照明がどれに当たるかは、ランプの型番で確認できます。

日本国内ではどう実施されているか

条約の内容を国内で実施しているのが水銀汚染防止法です。この法律にもとづき、環境省が製造・輸出入の禁止時期を種類ごとに定めています。一般照明用の蛍光ランプについては、電球形蛍光ランプが2026年1月1日から(30Wを超えるものは2027年1月1日から)、コンパクト形蛍光ランプが2027年1月1日から、直管形蛍光ランプと環形蛍光ランプが2028年1月1日から(ハロりん酸塩を主成分とする蛍光体を用いたものは2027年1月1日から)禁止されます(2026-08-06時点)。

重要なのは、この法律が規制しているのは製造と輸出入だという点です。使用・販売・購入は禁止されていません。環境省も、いま使っている蛍光ランプをただちに使えなくするものではないと説明したうえで、LED照明への計画的な交換を呼びかけています。

使い終わった蛍光灯の捨て方も条約と関係がある

条約の目的が「水銀を環境に出さないこと」である以上、使い終わった蛍光灯の処分も重要です。蛍光灯は水銀を含むため、多くの自治体で通常の燃えないごみとは別の区分(有害ごみ・水銀含有ごみなど)に分けて回収されています。区分の名称や出し方は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の案内で確認してください。

事業所から出る場合は扱いが変わります。事業活動に伴って生じた廃蛍光ランプは産業廃棄物として処理する必要があり、家庭ごみとして出すことはできません。LED化の工事を業者に依頼する場合、取り外した古いランプの処分まで含めて対応してもらえるかどうかは、見積もりの段階で確認しておくとよい項目です。

結局どうすればいいか

第一に、蛍光灯の製造禁止は「水銀に関する水俣条約」と国内の水銀汚染防止法にもとづくものだと理解します。蛍光灯が内部に水銀を使っているためです。第二に、照明の中では水銀灯のほうが先に規制されており、2021年1月からすでに製造・輸出入が禁止されています。第三に、禁止されるのは製造と輸出入で、使用・販売・購入は禁止されません。第四に、使い終わった蛍光灯は水銀を含むため、家庭では自治体の区分に従って出し、事業所からは産業廃棄物として処理します。工事を依頼する際は処分まで含まれるか確認してください(2026-08-06時点の情報です)。

出典・参考

官公庁など一次情報を中心に確認しています(確認日を併記)。

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