LED工事ナビby VANECT
店舗・オフィス店舗・オフィス向け

テナントの照明工事|貸主と借主、どちらの負担になるか

賃借している店舗や事務所で照明を替えるとき、費用を誰が負担するか、退去時に戻す必要があるかは契約によって決まります。確認すべき条項と、工事の前にやっておくべき手順を整理します。

LED工事ナビ編集部公開 2026年8月6日時点の情報
目次
  1. 照明は貸主の設備か、借主の設備か
  2. 契約書で確認すべき条項
  3. 貸主に相談すると負担してもらえることもある
  4. 借主負担で工事する場合の進め方
  5. 建物全体に関わる場合
  6. 結局どうすればいいか

テナントとして借りている店舗や事務所の照明をLED化したい。このとき最初に確認すべきは、その照明が誰のものかということです。ここを確認せずに工事を進めると、費用の負担でもめたり、退去時に原状回復を求められて二重に費用がかかったりします。

照明は貸主の設備か、借主の設備か

建物に最初から付いている照明は、通常は貸主(オーナー)の設備です。建物の一部として扱われ、その維持や更新は貸主の責任範囲になることがあります。一方、入居時に借主が自分で設置した照明は借主の設備で、自由に交換できる代わりに、退去時の扱いも借主の責任になります。

判断がつかない場合は、賃貸借契約書と、入居時に取り交わした内装工事の書類を確認してください。契約書には「貸主の設備」「借主の造作」といった区分が記載されていることがあります。入居時に内装工事を行っている場合、その工事の範囲に照明が含まれていれば借主の設備です。

契約書で確認すべき条項

照明工事に関わる条項はいくつかあります。

第一に、修繕義務の分担です。設備の故障や劣化に対する修繕を、貸主と借主のどちらが負担するかが定められています。「軽微な修繕は借主負担」といった形で線引きされていることが多く、照明の球切れは借主、器具の故障は貸主、という分け方もあります。

第二に、造作・模様替えの承諾です。多くの賃貸借契約では、借主が設備を変更する場合に貸主の書面による承諾を必要としています。照明器具の交換がこれに当たるかは契約の文言によりますが、配線を伴う工事であれば承諾が必要と考えるのが無難です。

第三に、原状回復の範囲です。退去時にどの状態まで戻す必要があるかが定められています。LED化した照明を元の蛍光灯器具に戻すよう求められる可能性があるのか、それとも設置したまま退去してよいのかを確認します。

貸主に相談すると負担してもらえることもある

照明が貸主の設備である場合、更新の費用を貸主が負担する可能性があります。とくに次のような事情があれば、相談する価値があります。

蛍光灯の製造・輸出入が種類ごとに順次禁止されており、直管形は2028年1月1日から(ハロりん酸塩系は2027年1月1日から)製造されなくなること。器具の設置から10年を大きく超えており、一般的な交換の目安を過ぎていること。電気代が下がるため、次の借主にとっても価値が上がること。

貸主にとっても、いずれは対応が必要になる設備です。借主から情報を提供したうえで相談すれば、費用を分担する形でまとまることもあります。少なくとも、無断で工事して後から問題になるより、事前に相談したほうが結果はよくなります。

借主負担で工事する場合の進め方

借主の負担で工事することになった場合、次の順で進めます。

第一に、貸主から書面で承諾を得ます。口頭の了解だけでは、担当者が変わったときに証拠が残りません。工事の内容、範囲、施工業者、工期を記載した書面で承諾をもらってください。

第二に、原状回復の扱いを承諾書に明記します。「退去時に原状回復を要しない」と書面で確認できれば、退去時の負担がなくなります。逆に、原状回復が必要なら、外した既存の器具を保管しておく必要があります。捨ててしまうと、退去時に同等品を調達できず(そもそも蛍光灯器具は製造されなくなります)、困ることになります。

第三に、工事の記録を残します。工事前後の写真、見積書、施工内容の記録。退去時の交渉で役立ちます。

建物全体に関わる場合

共用部(廊下、階段、トイレ、駐車場など)の照明は、通常は貸主の管理範囲です。借主が勝手に工事することはできません。

ただし、共用部が暗くて営業に支障がある場合や、蛍光灯の供給が止まって交換できなくなる場合は、貸主や管理会社に相談する価値があります。複数のテナントが入っているビルであれば、他のテナントと一緒に要望を出すという方法もあります。

結局どうすればいいか

第一に、その照明が貸主の設備か借主の設備かを、賃貸借契約書と入居時の内装工事の書類で確認します。第二に、修繕義務の分担、造作の承諾、原状回復の範囲という3つの条項を読みます。第三に、貸主の設備であれば、蛍光灯の製造禁止と器具の年数を材料に、費用負担を相談してみてください。第四に、借主負担で工事する場合は、必ず書面で承諾を得て、原状回復の扱いを明記してもらいます。第五に、原状回復が必要な場合は外した既存の器具を保管してください。蛍光灯器具は今後製造されなくなるため、後から同等品を調達できません(2026-08-06時点の情報です)。

出典・参考

官公庁など一次情報を中心に確認しています(確認日を併記)。

LED化のお申し込み工事費・出張費・処分費コミコミ

この記事は参考になりましたか?

いただいた声は、今後の記事づくりの参考にします。

関連記事

法令・点検ご家庭

賃貸住宅の照明が切れたとき、費用を誰が負担するかは「設備」か「残置物」かで変わります。退去時の原状回復の考え方と、工事が必要な場合の手順を整理します。

費用と相場店舗・オフィス

店舗のLED化費用は「坪数」ではなく「灯数と天井の条件」で決まります。飲食店・物販・サロンでよくある構成を例に、費用の考え方と、営業への影響を最小にする段取りを説明します。

店舗・オフィス店舗・オフィス

鏡前の照明は、施術の判断と仕上がりの印象を左右します。顔に影を作らない配置、髪と肌の色が正しく見える演色性、シャンプー台やレジ周りの要件を場所別に整理します。

店舗・オフィス店舗・オフィス

店舗のLED化でいちばん気になるのが営業への影響です。夜間工事・定休日工事・エリア分割の3つの方法について、費用と工期の違い、事前に伝えるべき情報を整理します。

店舗・オフィス店舗・オフィス

客席・テーブル・厨房で必要な照明はまったく違います。料理が魅力的に見える色温度と演色性、席が居心地よく感じられる明るさの配分、厨房の衛生面での要件を分けて説明します。

店舗・オフィス店舗・オフィス

内照式の看板には蛍光灯が使われていることが多く、切れたときに同じものが手に入らなくなります。ランプだけ替える方法、看板ごと作り替える方法、それぞれの判断材料と屋外ならではの注意点を説明します。

店舗・オフィスの記事

このカテゴリをもっと見る