倉庫・工場の高天井照明|水銀灯からLEDへ置き換えるとき
一般照明用の水銀灯は2021年1月から製造・輸入が禁止済みで、新品が手に入りません。球切れをきっかけにLEDへ置き換えるとき、高所作業の費用・安定器の処理・配光の違いという3つの論点を整理します。
倉庫、工場、体育館、大型店舗のバックヤードなど、天井の高い場所では水銀灯が長く使われてきました。しかし一般照明用の高圧水銀ランプは、2021年1月1日から製造・輸出入が禁止されています。すでに5年以上、新品が手に入らない状態が続いており、球切れをきっかけにLEDへ置き換える現場が増えています。
まず「同じものには替えられない」
水銀灯が切れたとき、同じ水銀灯に交換するという選択肢は基本的にありません。流通在庫が残っていれば購入できる可能性はありますが、年々細っています。
なお、メタルハライドランプ、セラミックメタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、紫外線用などの特殊用途のランプは規制の対象外とされています。自分の施設で使われているのがどれなのかは、ランプの型番で確認できます。「HF」で始まる型番は一般照明用の高圧水銀ランプであることが多いですが、判断がつかない場合は業者に型番を伝えて確認してもらってください。
論点1: 高所作業の費用
高天井の照明工事で、金額に大きく影響するのが高所作業です。脚立では届かないため、高所作業車、ローリングタワー、あるいは足場が必要になります。これらは日単位でのレンタル費用が発生します。
このため、1台ずつ切れるたびに工事するのは非常に不利です。1台交換するために毎回高所作業車を手配することになり、器具本体より作業の費用のほうが大きくなります。切れた1台だけでなく、同じ時期に設置された他の器具もまとめて交換するほうが、総額では安くなります。
見積もりを依頼するときは、天井の高さ、作業車を入れられる搬入経路があるか、床が作業車の重量に耐えられるかを先に伝えてください。倉庫では棚や在庫が作業の障害になることもあるため、作業スペースの確保についても事前に相談しておくとスムーズです。
論点2: 安定器の処理
水銀灯の器具にも安定器が入っています。LEDへ置き換える場合、この安定器を取り外すか、電気的に切り離す必要があります。安定器を残したまま使うタイプの製品もありますが、安定器自身が電力を消費し続けるため、省エネの効果が目減りします。また安定器には寿命があり、劣化すれば不具合の原因になります。
この工事は配線に手を入れるため、電気工事士の資格が必要です。見積もりに「安定器の撤去」または「バイパス工事」が含まれているかを確認してください。
器具そのものが古い場合は、器具ごとLEDの高天井灯に交換するほうが確実です。水銀灯の器具は設置から長い年数が経っていることが多く、内部の部品も劣化しています。
論点3: 配光の違いに注意
水銀灯とLED高天井灯では、光の広がり方が違います。単純にルーメンだけで比べると、実際の照らされ方が変わることがあります。
水銀灯は器具の反射板で光を広げる設計が一般的でした。LED高天井灯には、狭い範囲を強く照らすタイプと、広い範囲に均一に配るタイプがあり、選び方で床面の明るさの分布が変わります。既存と同じ位置に同じ台数を設置しても、間の部分が暗くなることがあります。
倉庫では棚の間の通路が暗くならないか、工場では作業台の上が確保できるかが重要です。面積が広い場合は、照度分布を計算してもらったうえで機種と台数を決めてください。
削減額は大きくなりやすい
高天井照明のLED化は、電気代の削減額が大きくなりやすい分野です。水銀灯400W形は安定器込みでおおむね440W前後を消費しますが、同等の明るさのLED高天井灯は150W前後です。
仮に10台を1日10時間、月25日使うとします。電気料金の目安単価を31円/kWhとすると、水銀灯では月におよそ34,100円、LEDではおよそ11,600円で、差は月22,500円、年間ではおよそ270,000円になります(消費電力は代表的な値で、実際は製品により異なります)。台数が多い施設ほど、この差が積み上がります。
さらに、ランプ交換の手間がなくなる効果もあります。高所作業車を手配して交換していた作業がなくなるため、その費用も削減されます。
結局どうすればいいか
第一に、一般照明用の水銀灯は2021年1月から製造・輸入が禁止済みで、同じものへの交換は基本的にできません。第二に、高所作業の費用が大きいため、1台ずつではなくまとめて交換するほうが総額は安くなります。第三に、天井高・搬入経路・床の耐荷重・作業スペースを先に業者へ伝えてください。第四に、安定器の撤去またはバイパス工事が見積もりに含まれているかを確認します。これは資格が必要な作業です。第五に、配光の違いで床面の明るさの分布が変わるため、面積が広い場合は照度分布を計算してもらってから機種と台数を決めてください(2026-08-06時点の情報です)。
出典・参考
官公庁など一次情報を中心に確認しています(確認日を併記)。
- 東芝ライテック 一般照明用の高圧水銀ランプの製造・輸出入の禁止について(東芝ライテック株式会社)2026年8月6日 確認
- 環境省 一般照明用の蛍光ランプの規制について(水銀汚染防止法)(環境省)2026年8月6日 確認
- 公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会(新電力料金目安単価 31円/kWh)(全国家庭電気製品公正取引協議会)2026年8月6日 確認
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