店舗の電気代を下げる|照明・空調・待機電力の優先順位
電気代を下げたいとき、どこから手をつけるかで効果が変わります。まず使用量の内訳を把握し、削減できる幅の大きい順に手を打つ。照明・空調・冷蔵設備の考え方と、費用をかけずにできることを整理します。
目次
電気代が上がって困っている、という相談は業種を問わず増えています。ただ、やみくもに節電しても効果は限られます。重要なのは、自分の店で何にいちばん電気を使っているかを知り、削減できる幅の大きいものから手を打つことです。この記事では、その順序を説明します。
まず使用量の内訳を知る
削減の第一歩は現状の把握です。毎月の検針票には使用電力量(kWh)と料金が記載されています。まずは過去1年分を並べてみてください。季節による変動が見えれば、空調の影響が大きいことがわかります。年間を通じてほぼ一定であれば、照明や冷蔵設備など常時動いている設備の比重が大きいことになります。
一般に、飲食店では厨房機器と空調の比重が大きく、物販店では照明と空調、事務所では空調とOA機器・照明が中心になります。ただし業態と規模で変わるため、自分の店の数字で判断してください。
契約の内容も確認します。契約電力(アンペア数やkW)が実際の使用に対して過大だと、基本料金を余分に払っていることがあります。電力会社に相談すれば、過去の使用実績から適正な契約を提案してもらえます。
照明: 効果が読みやすく、確実
照明の削減は、効果が計算で読める点が特徴です。消費電力と点灯時間と台数がわかれば、削減額を事前に計算できます。
店舗の照明は営業時間中ずっと点灯しているため、点灯時間が長く、LED化の効果が出やすい設備です。直管40W形2灯用の器具(およそ100W)をLED(およそ40W)に替えた場合、1日10時間・月25日・単価31円/kWhの条件で1台あたり月およそ465円の削減になります。20台なら月9,300円です。
加えて、蛍光灯は2027年から2028年にかけて種類ごとに製造・輸出入が禁止されるため、どのみち交換が必要になります。削減効果と期限の両方があるという意味で、優先度は高くなります。
空調: 影響は大きいが、対策は運用中心
空調は多くの店舗で電気使用量の大きな割合を占めます。ただし設備の入れ替えは費用が大きいため、まずは運用の見直しから始めるのが現実的です。
効果が出やすいのは、フィルターの清掃です。目詰まりすると効率が落ちるため、定期的な清掃で消費を抑えられます。次に設定温度の見直し。冷房を1度上げる、暖房を1度下げるだけでも積み上がります。ただし客の快適性を損なうと本末転倒なので、バックヤードや客のいない時間帯から調整してください。
室外機の周りに物を置かない、直射日光を避けるといった対策も効きます。熱がこもると効率が落ちるためです。
なお、照明をLED化すると発熱が減るため、夏の冷房負荷はわずかに下がります。ただし冬は逆に暖房負荷がわずかに増えるため、年間では大きな効果として見込まないほうが無難です。
冷蔵・冷凍設備: 飲食と物販では大きい
飲食店やコンビニ、食品を扱う小売では、冷蔵・冷凍設備が常時稼働しています。ここも見直す価値があります。
扉の開閉時間を短くする、パッキンの劣化を確認する、放熱部の清掃をする、詰め込みすぎない。いずれも費用をかけずにできる対策です。設備が古い場合、買い替えによる効率の改善が大きいこともありますが、これは投資判断になります。
待機電力: 効果は小さいが積み上がる
使っていない機器の電源を切る、という対策は効果が小さく見えますが、台数が多ければ積み上がります。閉店後に使わない機器のコンセントを抜く、あるいはスイッチ付きの電源タップでまとめて切る、といった運用です。
ただし、冷蔵設備やレジ、防犯設備など切ってはいけないものもあります。何を切ってよいかを整理し、スタッフが迷わない形にしておく必要があります。
手をつける順番
費用をかけずにできることから始め、投資が必要なものは効果の大きい順に進めるのが基本です。
第一段階は運用の見直し(空調のフィルター清掃、設定温度、消灯ルール、待機電力)。費用がかからず、すぐに始められます。第二段階は契約の見直し(契約電力が過大でないか、料金プランが実態に合っているか)。第三段階が設備投資で、その中では照明のLED化が計算しやすく、期限もあるため優先度が高くなります。空調や冷蔵設備の更新は金額が大きいため、補助金の活用も含めて検討します。
結局どうすればいいか
第一に、検針票で過去1年の使用量を並べ、季節変動から何の比重が大きいかを把握します。第二に、費用をかけずにできる運用の見直し(フィルター清掃・設定温度・消灯ルール)から始めます。第三に、契約電力が過大でないかを電力会社に相談して確認します。第四に、設備投資では照明のLED化が計算しやすく、蛍光灯の製造禁止という期限もあるため優先度が高くなります。第五に、空調や冷蔵設備の更新は金額が大きいため、補助金の活用を含めて検討してください(2026-08-06時点の情報です)。
出典・参考
官公庁など一次情報を中心に確認しています(確認日を併記)。
- 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト(経済産業省 資源エネルギー庁)2026年8月6日 確認
- 環境省 一般照明用の蛍光ランプの規制について(環境省)2026年8月6日 確認
- 公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会(新電力料金目安単価 31円/kWh)(全国家庭電気製品公正取引協議会)2026年8月6日 確認
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